緩和ケア研修研究センター第一回市民公開セミナー
<2012.05/27>舞浜倶楽部の、緩和ケア研修研究センターでは、高齢者介護や認知症について、地域の方を中心に、多くの方と学び合うセミナーを企画し、このたび、第一回市民公開セミナーを開催しました。 「家族支援 ~家族のストレス・悩みを緩和する~」(講師/矢吹知之さま) 矢吹先生は、 厚生労働省指定の認知症介護研究・研修仙台センターの主任研修研究員として、認知症介護指導者の養成に携わり、また東北福祉大学で研究活動の傍ら、講師として教鞭を取っていらっしゃいます。認知症高齢者を介護する家族の支援プログラムの開発を長年行っており、地域における介護予防活動や認知症予防活動に関する研究もされています。家族支援と地域の高齢者支援のあり方について、多くの知識と経験をお持ちの矢吹先生に、家族のストレス・悩みを緩和する視点から、認知症ケアを学ぶ機会を得ることになりました。
「1975年頃から、家族・結婚観に大きな変化が出て、多様化・絆の情緒化・役割の個人化が進んだにも関わらず、『家族による介護は愛情表現』といった家族神話が介護を苦しめている」と、家族のあり方に対する考えの変化について冒頭に触れ、家族観に関するデータを紐解きます。認知症患者を家族が介護する難しさについて、取りつくろいや物取られ妄想などの認知症患者特有の問題や、介護者との関係性等を、認知症の家族を実際に介護した方へのインタビュービデオや、データとともに解説。在宅介護の負担感と否定的評価を、肯定的評価に変える事が、家族への大きな力になるとして、「コミュニティが健康に影響を及ぼしている。安心して暮らすには地域が最も大切な力となる」「何でもスパッと解決してくれる"黄門様"はいない。一人ひとりが地域を意識する事が大切」と結びました。高齢者介護に関する世論調査の資料など具体的な数値と、ユーモアを織り交ぜながらの矢吹先生の講義に、真剣に聞き入り、メモをとる様子が会場のあちらこちらで見受けられました。講演後の質疑応答では、「認知症を本人や家族が隠したがる傾向があるが、どのようにしたら言い出させる事ができるか」といった具体的な質問をいただきました。また、講演終了後には、会場内の相談コーナーにて、個別のご質問・ご相談をお受けしました。 認知症患者の在宅介護と、地域の支え合いのあり方について、多くの方とともに学んだ貴重な機会となりました。講師の矢吹先生、ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。