
「俺は糖尿病ではない。そんなうるさいこと言わないでくれ。
俺はもう死んでもいいんだ。」
ある日の午後、Yさんの心のブレーキがはずれたように怒りの言葉が溢れました。
Yさんは、いつも穏やかにリハビリに励み、入居してから歩けるようになり、リハビリパンツともさよならできた努力家です。
血糖値が高くカロリー制限がある事が課題です。
舞浜倶楽部が病院であれば私たち看護師がYさんの晩酌を認める事はありません。
しかし、ここは生活の場です。
「ビールが飲みたいし、食べたいものは食べたいんだ」
この思いをどうすればいいのか…私たちは、悩んでいました。
これからも元気で楽しく生きていただきたい。
そのために私たちは何を大切にするべきなのか。
そんな中でYさんの心のブレーキがはずれてしまったのです。
私たちは、これまでYさんとの心の壁を乗り越えられないでいたことを反省し、 緊急に話しあいを行いました。Yさんにも同席していただきました。
ケアマネ、調理長、コンタクトパーソンのケアスタッフ、看護師がYさんを囲み、これまでの反省や、これからどうしたら良いのか、意見を出し合いました。
私はその場が暖かい家族会議に見えていました。
「うん、うん…」Yさんは真剣に話しを聴いてくださいました。
私は看護師として何を言うべきか考えていました。
そして、「お孫さんの花嫁姿を見るまで長生きするって約束してください」とYさんの手をとりました。「ゆびきりゲンマン!」 精一杯の思いでした。それは自分への約束でもあったのです。
最期までYさんらしくここ舞浜倶楽部を我が家として暮らして頂きたい。そして、夢でもあるお孫さんの花嫁姿を見ていただけるように、私たちができるかぎりサポートして行くことへの"ゆびきりゲンマン"。
私たちの想いは、Yさんに届き、食事や飲酒制限を理解してくださいました。
この約束をして約1カ月後、Yさんの血糖値は劇的に安定していました。