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Tさまは、スタッフにも気遣いをしてくださる、穏やかで物静かな方です。規則正しく、お部屋で過ごすのを好まれます。Tさまは握手がお好きで、私は、お部屋を訪ねた時はまず握手をし、終わるとまた帰り際に握手をして…と、ささやかなコミュニケーションをとらせていただいていました。
そんなTさまを、コンタクトパーソンとして、初めて担当させていただく事になりました。コンタクトパーソンは、ご入居者のケアの計画や毎日の生活に深く関わる存在。頼もしい先輩方と比べ、年齢が若く、経験の浅い私が担当になり、Tさまは不安に思われているのではないか…でも、直接伺っても気を使われて、本当のお気持ちを話してくださらないのではないか…と心配になりました。
そこで、担当になる事が決まってすぐから、以前のコンタクトパーソンや、Tさまがお住まいの階のフロア担当スタッフに話を聞いたり、毎日電話されているご家族に時間をいただいてお話しさせていただいたりと、コミュニケーションの取り方を模索しました。お部屋に伺う際は予めご予定をお聞きし、長居はしないよう気を付け、Tさまがお話しされる際は聞き役に徹するなど、ご負担をあまりかけないコミュニケーションから始めてみました。
そして、毎日ご挨拶に伺う中で、少しずつ、私と話をしている時の表情が柔らかくなってきたかな?と感じた頃、タクティールケアをさせていただけないかお願いしました。以前からさせていただいている『握手』の延長線にある、手のタクティールケアなら、受け入れていただけるのではないかと考えたからです。Tさまがお気を使われないように、会話の中でさりげなく「タクティールケア、させていただけないでしょうか?」と切り出してみました。
「そうね、お願いしてみようかしら?」
Tさまがにっこり笑ってそう言ってくださった時は、本当に嬉しかったです。
今は、お気持ちに負担がかからないように気をつけながら、お好きな水彩画をお勧めしたり、タクティールケアを継続的に行ったりしています。
お描きになった絵を談話室に貼らせていただくと、お部屋から出て談話室でお茶を飲まれたり、タクティールケア後に「またいつでも来てね」と言ってくださるなど、Tさまの毎日に少し変化が出てきました。また、ご家族から「最近電話で話していると、あなたの名前が出てきますよ」と言っていただいたり、休みの翌日に同僚スタッフから「昨日Tさまに『大庭さんは今日はお休みですか?』って聞かれたよ」と聞かされたりと、Tさまに気にかけていただいている事を知りました。
ケアの質とともに、スタッフとの信頼関係は、その方の毎日に大きな影響を及ぼしていくのだと、Tさまに教えていただいているように感じます。ケアスタッフとしてはまだまだ修行中ですが、丁寧なコミュニケーションを心がけてTさまや多くのご入居者の毎日に寄り添い、安心して頼っていただける存在になれるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
※「Care Story」は、舞浜倶楽部で実際にあったことをもとに書き起こした、ケア事例です。
ケアの結果には、複合的な要因や個人差があり、この事例が全ての方に当てはまるものではありません。
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